2018年6月8日金曜日

【立春】末候  「魚游於水」(うおみずにあそぶ)の心得


 「魚游於水」「鳥遊於雲」は逍遥遊という生き方を説いたもので、中国古典の「荘子の第一節」にある言葉。それによると、「とらわれのない自由なのびのびした境地に心を遊ばせること、とらわれのない自得の楽しさ」を指すのだそうです。荘子は、逍遥遊編の中で、「無窮に遊ぶものは、何にも頼ることがない」と書いています。
 な〜んて、哲学を持ち出して煙にまくのは、魚につながる住まいにまつわる言葉が(思いつか)ないからでして、決してこの書き物の価値をあげよう……、なんて、よ、よこしまな考えがあるわけではありません。ただ、栖間居づくりとなると、それなりの哲学をもたねばなり建ちますまい。とまぁ、そはさておき二十四節気第三候ともなれば寒気も緩み、こたつを出でて家づくりをば、、む、夢創いたしませんこと〜。
 流行りにとらわれず、惑わされることなく、しっかりした栖間居る学を身につけんが為いざ遊学にいでましょうぞ。春に基礎工事、梅雨までに屋根瓦を葺き、土壁を塗り終わり夏の多湿の間にじわりと乾燥させて、時候のいい秋に造作を整えるる。これ家創学也〜〜。

2018年6月7日木曜日

【立春】次候  鶯張(うぐいすばり)


 世界遺産にも登録されている二条城。その二の丸御殿の廊下を歩くと「キュッキュッ」と独特の音が鳴り、その床板がきしむ音がまるでうぐいすが鳴くような音だということから、「鶯張」と呼ばれています。二条城のほか京都の寺院にも多くみられなかでも知恩院の御影堂など建物四つ(集会堂、大方丈、小方丈)をつなぐ廊下(約550メートル)が有名です。
 この鶯張、近年までは侵入者を知らせる防犯用の仕掛けだとの説が一般的だったのですが、実際はそんな大層な仕掛けではなく、そもそもは着物の裾が釘の頭にひっかからないように釘頭が床面に出ない廊下を設計したところ、その構造上の問題から結果として音が出るようになったのだそうですよ。床下で目かすがいという金具を取り付け、根太と床板を固定するという構造になっていて、乾燥によってかすがいが緩みこすれて鳴るようになるとのこと。
 知恩院は2018年まで修理中でしたが、修理を担当していた京都府教育委員会によると、うぐいす張りの廊下はもともと音を出すことを目的とした仕組みではないため、修理で廊下のかすがいを締めなおしたから、しばらくのあいだは音が出なくなるというとのこですよ。

2018年5月31日木曜日

【立春】初候  棟(むね)

 暦の上で春立てどもこの季節、木造の家に異常乾燥注意報は大敵ですが、家づくりを始めるには気候がゆるみ、地固め、立柱、上棟にいい時候を迎えます。
 さて、「棟割り長屋」とか主屋の外にたてる離れを「別棟」とも用いられる棟は、建物を数えるときの単位・数詞でもあり、建物の象徴とされています。柱、梁とともに主要構造部材のひとつで、家を建てるときの各職方をとりしきる管理者・頭領のことを、建築現場では格別に棟梁とよびます。
 建物を建てるとき最初に地鎮祭(式)を催し、基礎工事ののち立柱式、上棟式、瓦棟上式、をへて竣工式とあいなります。生活(諸行事)の簡素化がすすむ現在でも上棟式だけはとりおこなわれる事が多いのですが、それは各式典には建築にたずわる職人たちへの慰労とともに、いい建物にしあげてほしいとの施主の願いがこめられてのことなのですね。

 この上棟式では幣ごし(棟札)を棟束に飾りますが、このとき東向きにつけるのが習わしです。「東風吹かば思い起こせよ……」の新年最初に吹く東風を「初東風」と呼ぶとのこと。

【立春】末候  「魚游於水」(うおみずにあそぶ)の心得

 「魚游於水」「鳥遊於雲」は逍遥遊という生き方を説いたもので、中国古典の「荘子の第一節」にある言葉。それによると、「とらわれのない自由なのびのびした境地に心を遊ばせること、とらわれのない自得の楽しさ」を指すのだそうです。荘子は、逍遥遊編の中で、「無窮に遊ぶもの...